メガラニカ大陸
古代ギリシャ。知識人の間で地球球体説が唱えられていた。しかし、当時知られていた大陸は全て北半球に偏っており球体としては安定性が悪い。ならば南半球にもそれと釣り合いが取れるだけの巨大な陸地が存在するという考えのもと想像されたのがこの『メガラニカ大陸』(または、マガラニカ、マゼラニカ)である。
メガラニカもパシフィス大陸やレムリア大陸のようにある事象の仮定で提唱された大陸である。故に否定的な意見ももちろんあり、ギリシャ人自身が未発見であることを認めている。
仮説上の大陸とされてきたメガラニカだが、大航海時代に入りその一部と思われる陸地が発見され、1606年にウィレム・ヤンツがニューオランダ(現在のオーストラリア大陸)西海岸を、1646年にアベル・タスマンがニュージーランドを発見すると、ついにメガラニカが発見されたと考えられた。
この時代、メガラニカは想像上の大陸ではなく、新しく発見された実在の大陸とみなされていた。そして幾度の航海を経て、数々島々の発見に至りメガラニカの存在は完全に否定された。
まだ高緯度にはいくらか未探検の領域が広がっていたが、すでに地図の空白を空想で埋める時代ではなく、メガラニカが描かれることはなくなった。1820年頃、かつて想像されたメガラニカよりはるかに小さな南極大陸が遂に発見された。
こうして古代ギリシャ人が考えた南半球の広大に広がる大陸は、幻のものとなった。しかし、メガラニカ大陸提唱が、南極大陸を発見するために貢献した事は間違いない。
「北半球とほぼ同等の大陸がそこにある。」
そんなロマンを駆り立て船を出し、新大陸を発見したその気概を賛美したい。
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