ネッシー
イギリス、スコットランドのネス湖に棲息するという、未確認生物の頂点に君臨するネッシー。
ネス湖における怪生物の最古の目撃は紀元565年に記された「聖コロンバ伝」に見られる、水棲獣が人間を襲撃する絵とされる。
同様の記録は1500年から1700年にかけて長期的に目撃されている。しかし、目撃者が激増したのは、1933年以降でこの怪物に「ネッシー」という愛称が付いたのもこの年なのである。
ネス湖は、スコットランドを西の大西洋側から北の北海側まで、深い割れ目のように貫く淡水湖だ。長さは36.8キロ、幅1.6キロ、深さは平均200メートルで、最深点は230メートルにも達する。湖岸には岸辺らしきものはなく、湖面上も湖面下もそそり立つ岸壁から成り立っている。
さらにネス湖の水は、河川から流入する泥炭の粉塵が混じっているため、墨を流したようにドス黒い。水中ではほとんど何も見えず、深度3メートルのところで、かなり大きな物体がかろうじて見える程度なのだ。深度10メートルまで潜れば、一寸先は闇。これが潜水や水中カメラでの調査を難しくしている。このためか、水面下に大きな洞窟があり、底に怪物が潜んでいるとの言い伝えがある。
事実、1970年にアメリカ、ボストン応用科学アカデミーの調査隊による断面操作ソナーの実験で、岸壁に大きな動物が隠れるのに十分な広さの洞窟、もしくは窪みとおぼしきものが発見されている。
なお、ネス湖に棲息する魚類は、種、量ともきわめて豊富である。
海から上がってくるサケをはじめ、マスも多く、9~14キロという大きさに生育する。20キロを超えるようなカマスもいるし、イワナの群れも泳ぎ回っている。さらに膨大な数のウナギが棲息し、体長2.5~3メートルのオオウナギも潜んでいる。
人間に発見されにくく、食料も豊富・・・。
ネス湖はまさに巨大生物が生存していくための条件が揃っているのだ。
ネッシーの姿
統計によると、20世紀以降、既に4000人以上の人々がネッシーと見られる怪物を目撃しているとのこと。目撃情報から分析し、ネッシーの詳細な姿を導き出した。
- 頭部:1対の角や突起物が報告されている。
- 頸部(くび):きわめて長く、湖畔から突き出していることが多い。ときにアーチを描いていることもある。また、たてがみやひだ状のものの存在が、数例報告されている。
- 胴体:非常に巨大。半数近くの目撃者がコブの存在を報告している。コブの数は2個が最多で、次いで3個、1個となるが、稀に12個のコブが確認された事例もある。
- 皮膚:色はくすんだ灰色、もしくは赤褐色。皮膚は、アザラシのように滑らかでギラギラぬめっているものと、象のように目の粗いものと大別される。
主な目撃情報
ネッシーの目撃情報が急増したのは、1933年、ネス湖の西岸を走る国道82号線が開通しているのだが、実は道路工事にともなって森林が伐採され、以前は木々でさえぎられていた湖畔の眺望が、初めて楽しめるようになった。そのため、観光客が数多く訪ねるようになり、ネッシーの姿を目にする人々も激増したのだ。
外科医の写真
目撃証言の増加に伴い、ネッシーの真偽論争も盛んとなった。その結果、世論は「論より証拠」、ネッシーが写された一枚の写真を求めた。
その期待に応えたのが、ヒュー・グレイである。
1933年11月13日、彼はネス湖に出現した謎の生物の姿を、世界で初めて写真に撮る事に成功したのだった。
このフィルムは、アメリカの写真用品メーカー、イーストマン・コダック社の研究員によって、人為的な作業を加えた痕跡は一切認められないことが証明され、ついに「公認ネッシー写真」の第一号となった。
しかし、撮影から半世紀以上たった1993年、当時の関係者が死の直前になって、あの写真が、潜水艦の模型を使ったフェイクであると告白したのだ。
以降、「外科医の写真」は、ネッシー捏造写真の代名詞となったのである。
ネッシーの正体について
目撃者が4000人と未確認生物の中では群を抜いて多いネッシーだが、未だそのシッポすらつかめていない状態である。
ネッシー研究家などの正体の考察を一挙紹介する。
- アザラシ誤認説
- オオウナギ説
- 湖面に浮上した木片誤認説
- 波やうねり誤認説
- プレシオサウルス説
- 大型両生類説
- タリモンストラム・グレガリウム説
- 巨大化したミミズ説
- ステラーカイギュウ説
- 新種の哺乳類説
- 未知の哺乳類説
どうだろうか、この数・・・。ネッシーだけで大きく分けても11説も存在する。
未確認生物の王者と呼ぶにふさわしいほどの人気ぶりである。
実際に可能性が一番高いのは、『未知の哺乳類説』で、いてもおかしくないと証明されている。
ネッシーが発見されたという、今世紀最大のニュースが流れることをこれからも期待するのであった・・・。