ベアウルフ
アメリカ、ウィスコンシン州の郡で、クマともオオカミともつかない奇怪な風貌をした怪物が徘徊しているという噂が流れた。その怪物こそ『ベアウルフ』である。 体長1.8~3mで、全身黒くて長い毛に覆われ、頭部は「オオカミ」、胴体は「クマ」をかけ合わせたかのような形態をしている。
ベアウルフの目撃情報
2006年11月、ワシントン郡にある「自然資源局」の依頼で、車に轢かれた動物の死骸を回収する仕事をしている、ある男がベアウルフとおぼしき怪物と、ごく間近で遭遇したという・・・。
この日の午前1時過ぎ、男はピックアップトラックで担当地域を巡回中、ハイウェイ167上で、リストに載っていない小さなメスのシカの死骸を発見した。体はまだ柔らかく、死後間もないと思われた。 男はトラックからテイルゲート(折り畳み式の傾斜路)を下ろし、死骸を回収して荷台に乗せ、車内に戻った。
すると突然、車体が揺れ、バックミラーを覗くとそこにはなんと、荷台からシカの死体を盗もうとしている怪物の姿が映っていた。驚いた男は、慌ててトラックを急発進して怪物を振り切った。 彼が見た怪物は、三角形に尖った耳、突き出した口、狼そのままの頭部と体長はクマのように大きかったという。
後に死骸も置いてきてしまったことに気づき現場に戻ってみるが、テイルゲートもシカの死骸もなかったという。
午前4時過ぎ、彼は警察に行き、全てを話した。しかし警察はまともに聞こうともせず、夢でも見ていたんじゃないかと一蹴した。その後マスメディアが彼の体験を新聞やテレビ局が取り上げ、コメントを求められた際、「私が見たものは、ビッグフットでもない、クマでもない、コヨーテでもない未知の怪物」と力説したそうだ。
人狼伝説 『シャギー』
アメリカウィスコンシン州は、ビッグフットが出没することで有名な場所である。 それとは異なる「ベアウルフ」の目撃情報も多数あるという。さらに、南部のウォルワース郡には『シャギー』と呼ばれる人狼伝説があり、これこそベアウルフのことではないかという専門家もいる。
ベアウルフの正体について
ウィスコンシン州の先住民族チワペ族の間には、『ウィンディゴ』という名の奇獣伝説がある。 ウィンディゴは直立2足歩行をする巨大な怪物で、森の中に隠れ棲み、餌食にする人間を待ち構えている。さらに家族単位で棲み、時にはチワペ族と異種間結婚をすると、言い伝えられている・・・。
この伝承を知る人々は、シャギーの正体こそ現代に甦った伝説の奇獣『ウィンディゴ』ではないかと語っている。 また、ウィンディゴとチワペ族の間にできた混血種の可能性を示唆する人々もいる。だが、それらはもちろん単なる憶測に過ぎない。
シャギーの目撃多発ポイントであるプレイ街道から約20キロ離れると、広大な人跡未踏の原始林が広がる。 そこには氷河が形成した丘や谷がある。その原始林こそ、シャギーの棲家なのかもしれない。 目撃が多発し始めたベアウルフ。そして、その特徴はシャギーと一致する。
『ウィンディゴ』=『シャギー』=『ベアウルフ』という全ては同じ怪物を、違う名前で呼んでいるだけなのかもしれない。 いずれにせよ、ベアウルフの正体は情報不足であり判明していないという・・・。
参考文献 : 未確認動物UMA大全 並木伸一郎 (Gakken)